2016年2月13日土曜日

北西(乾)のキッチンとトイレの吉凶

キッチンの方位について論じる際、S氏は、陰陽五行の相生と相剋について語っている。

乾の方位は、六白金星。

この方位にキッチンがあるとする。

キッチンでは水をつかう。だから、水と金が相生して木と考えることができる。

しかし、乾の方角に含まれる、戌の方位は土性に属している。

だから、土に水があると、土剋水の凶になる。

乾に比べると戌の範囲は狭い。だから、この場合、戌の凶より、乾の吉の方が大きい。しかし、S氏は、凶と吉が相反する場合、何れ、凶が買ってしまうと主張している。つまり、乾の方位のキッチンは凶になる。

また、キッチンは火を使うので、火と六白金星が相剋すると考えることができる。さらに、亥の方位は水なので、水と火も相剋する。

したがって、キッチンを水と捉えても、火と捉えても凶になるのである。

現代家相では、キッチンを不浄の場として、トイレなどと同じように扱う相者も多いようだが、相生と相剋で説明された方が説得力がある気がする。


ちなみに乾の方位のトイレは凶。トイレは度の方位でも凶になる。乾には、父、頭、肺の意味があるので、北西にトイレがあると、家の主人が胸部や頭部の病に侵されるとされている。

特に、本命星が六白金星の人や、戌年、亥年の人は、凶災が強くなる。

また、S氏は、便所が母屋にあると特に病気の発生が強力であるとしている。当時は、汲み取り式のトイレで、母屋の外に、トイレを作るのが普通だったようだ。

子供の健康に関する凶相

S氏の家相では、子供の凶相に関する記述が多いような気がする。

もともと、家相は、家の主人の為のものであった。

子供や妻にとって良い家相を意識していた相宅家は少ないと思う。

子供に関することは、たとえば、相続人がいないとか、養子の人に相続をさせると言った感じで、あくまで、家系重視の考え方だった

妻についても、妻が権力を握ると家が衰えるとか、妻とうまくいかない、または妻が早死にするので、何度も妻を持つことになるといった具合に、あくまで、主人が中心の考え方をしていたのだ。

でも、S氏の時代は、家族の価値観も変わってきたのかもしれない。

たとえば、乾方位は、父親の方位として知られているが、乾方位が凶相の家に育った子供にも悪影響が出るという。

乾には頭や肺といった意味があるので、この家で十歳まで育った人間は、成人すると肺の病で倒れるとか、虚弱な人間になると論じられている。

江戸時代は、父親中心だった家相だが、明治後期から昭和初期にかけて、女性や子供の運勢も意識されるようになったのかもしれない。

今では、子供部屋の位置に悩む親も多いようだ。

ただし、親が衰えると、子供も元気に育つことが難しいので、一番重要なのは家の主人であるという家相鑑定の基本は現代で変わらず残っているようである。

北西(乾)は父、社長、君主の象徴なので重要になる

北西の乾は、天を意味する。つまり、最高位。

会社の社長とか、リーダーとか、家の主人を意味する。

もともと、家相は、家の主人の運勢を高めるための方法だった。主人が健康で、お金をたくさん得ることができれば、家族だって幸せになれる。

その一方で、妻が権力を持つような家は、良くないとされていた。つまり、凶と判断されていた。

S氏の時代は、既に、大分、価値観が変わっていたから、女性の運が高まることを好意的にとらえる記述もある。

また、天は丸くて、地は四角いという解釈が、昔はされていたらしい。

天は丸いので、頭の形に似ている。だから、乾には頭の意味もあるという。脳や、目鼻口も乾に属すると解釈できる。単純に、人の体で一番上に位置する頭を天と関連づけたのかもしれない。

また、乾は、肺の意味もある。

だから、乾の方位に建物を作ると、家の主人が肺を患うこともあるという。

方位と四季と陰陽

家相を考える際、各方位の季節が重要になる。

季節が、方位の特質を決めると言っても過言ではない。

北は冬で、東は春で、南が夏で、西が秋になる。

北は寒くて、南は熱いので、この季節の配当は、受け入れやすいと思う。

これと、草木の成長を並べて考えることが多い。

春は草木の芽がでる季節で、夏は草木が茂る。秋は果実が実り、冬は木が枯れる。しかし、家相では、木が枯れて、陰になるのだが、そこに陽の気が発生すると解釈することが多い。

また、十二支も、季節が割り当てられる。12カ月なの都合よく、分割できるのである。時間も同じように24時間なので、干支を割り当てやすい。

一月は子、二月は丑、三月は寅、四月は卯、五月は辰、六月は巳、七月は午、八月は未、九月は申、十月は酉、十一月は戌、十二月は亥。

たとえば、西の方位は、秋である。

秋は収穫の季節。稲が収穫される。これによって人は富む。だから、富貴の象徴方位とされる。特にお金と結びつけら得ることが多い。

また、 家相では、陽と陰の気の循環が意識される。

S氏の家相法では、季節と陰陽は、一致していないような気もする。陽と陰の気についてはいろいろな解釈が可能だからだ。

たとえば、乾の方位。乾は、季節でいうと晩秋から初冬。陽が陰に替わる境界に位置する。

また、亥は、核(種)を意味し、樹木の生育が一度終り、種が落ちると解釈する。さらに、壬は、妊を意味するので、陽の気が生まれると解釈することが可能である。

気学では、乾の方位は60度になる。二十四山方位と照らし合わせると、壬も乾に含まれることになるのだ。

さらに、S氏は独自の解釈をする。

乾は、後天定位では六白金星であるが、先天定位では八白土星である。八白土星は後天定位の艮の方位で、季節が一巡し、新たに始まる方位とされている。

陰が終わり陽がはじめるという八白土星の特質を乾も含むので重要な方位であると、S氏は解釈するのである。



2016年2月12日金曜日

三方跨りは東西南北、どこにあっても大吉相

S氏は、三方跨りが一番の吉相だと書いている。また、S氏の団体がつくった住居はすべて、三方跨りだとも書いている。

別棟が、三つの方位にまたがっていることを三方跨りと言う。

たとえば、西の方位であれば、坤と西と乾にまたがるように別棟を建てる。

三つの方位にまたがるように建てるにはかなり大きな建物が必要。S氏の巽の事例も、母屋より別棟が大きくなっている。

現代の住居では、別棟が母屋より大きいなんてことはあまりないので、今は使えない吉相住宅と言えるかもしれない。

なぜ、三方跨りが良いのか?

基本的にS氏の家相法では、張りは吉、欠けは凶と判断する。

また、別棟も張りと同じ効果をもたらす。

3つの方位に別棟が跨っていると言うことは、3つの方位の張りによる恩恵を受ける事になる。だから、大吉相になるという理屈である。

例えば、西を中心とした三方位の場合、乾は、戌と亥、西は酉、坤は未と申にあたる。だから、5つの干支の恩恵を受けるので、一年のほぼ半分は繁忙しているという。

なお、三方位と言っても、方位の境界線に少しかかる程度では、三方跨りの恩恵を受ける事ができないらしい。

東西南北は気学では30度なので、この三十度を中心として、三方跨りの別棟を作ることが多いようである。

東西に長細い家は凶相、四二間の家

S氏の家相法は、方位にこだわった吉凶が多い印象があるが、四二間について書かれている箇所がある。

東西に長細い家は、西張りと東張りと解釈できるとしている。

しかし、間口と奥行きの比率によって、四二間に当たり、凶になるらしい。

四二間については、あまり詳しく書かれていないが、どうやら、当時の俗説で、間口が二間で奥行きが四間の家が凶相とされていたようである。

ただし、S氏は、間数が重要なのではなく、長細い住居を相生して四二間と言うのが正しいと論じている。

東西に長細い家の場合、西張りと東張りの効果で、裕福になる。

しかし、必ず、後に滅亡するとしている。

財産が増えるのは最初の十年間だけと書かれている。

東西に長細い家は、吉相に見えて、実は凶相というのがS氏の主張である。

気学の変爻、兌張りと震の欠け張り

家相鑑定の時、張りや欠けによって、八卦の卦象を変化させることがある。

昔は、張りは上爻を変化させ、欠けは下爻を変化させるという方法をとっている家相家が多かった。

しかし、S氏は少し変わったルールで変爻をつける。おそらく、多田鳴鳳と同じ手法だと思うが、あまり詳しく勉強していないので良くわからない。

具体例を挙げよう。

たとえば、兌張りによって、乾が生じる。兌の上爻の陰が陽に変化するのである。

兌は女卦で、乾は父を意味する。

だから、女が男に代わって権力を持つと判断できる。

S氏の時代、女が力を持つからと言って、凶とは判断されなかったようだ。

兌張りは吉で、金運がアップする。その金を導くのは女であると判断している。


では、震張りはどうか。震張りの場合、中爻の陰が陽に変化する。兌は金を意味するので、震張りの時も裕福になれる。

震欠けの場合、下爻の陽が陰に変化する。その結果、坤になる。坤は、無とか、土という意味がある。震には声という意味がある。この家に生まれた子供は声が低いし、弁舌が働かない。つまり、声が無になると判断するのである。

トイレの位置より張り欠けが重要、方位学より家相、家相より地相が重要

S氏によると、家相で一番重視すべきは、張りと欠けだという。別棟も張り欠けに含んでいると思われる。

それに対して、梯子があるとか炊事場があるといったことは、重要度が落ちるという。S氏は、おそらく、トイレや玄関の位置よりも、張り欠けが重要だと考えていたと思う。

それなのに最近の家相法は、トイレと玄関の位置ばかりを気にしている。いつから、この傾向ができたのか良くわからない。なぜか、家相と言うとトイレと玄関というイメージがある人が多いようだ。


また、方位よりも家相、家相よりも地相が重要だとS氏は書いている。

これも、現代の家相家や風水師は逆にとらえる人が多いと思う。

地相の重要性をアピールする人はいない。

既に買ってしまった土地は、どうにもならないから、それを否定しても仕方がない。また、昔の宅地と違い、現代の宅地は、矩形が多いので、張り欠けが存在しない。だから、地相について論じる必要がないのである。

また、気学の専門家の多くは建築ではなく、占いが好きな人たちなので、どうしても、方位学の方に没頭してしまう。家相の場合、客は、新築の家を建てたい人とか、何か悪い出来事があって、その理由を家相の性にしたい人たち。いずれにせよ、客が少ない。

それに対して、方位学の方は、毎年、毎月、毎日、吉方位と凶方位が変化する。だから、客はリピーターになりやすい。だから、気学で商売をしている人たちは、方位を重視したほうが都合がいいのかもしれない。

方位盤の角度、30度と60度

家相を判断する時、四仲が30度、四隅が60度の方位盤を用いる人たちがいる。

気学を学んだ人たちだ。

途中から、45度の方位盤に変更するわけもいかないから、一度、決定したら、生涯、30度と60度の方位盤を使うことになるのだろう。

家相の鑑定を受けた人からすれば、方位盤を変えた結果、吉が凶に代わるってことも起こる。だから、替えることができないのだ。

最近の家相法は、45度を使う人が多くなっているし、30度と60度の方位盤を使うと、気学だというのが見え見えなので、それを嫌う人もいるのかもしれない。風水と名乗っているのに、なぜ、気学なのだといった批判をされかねない。

さて、S氏は、30度と60度の方位盤を使うことを薦めるのだが、その理由は明快ではない。経験によるものだとしか説明されていない。

もしかしたら、詳しく解説した本もあるのかもしれないが、まだ、読んだことが無い。実に興味深い。

十二支方位の場合、北の子(ね)が30度で、北東は、丑と寅の30度が2つで60度になる。だから、30度と60度の分割も理解できなくもないのだが、S氏は家相について論じる際に、十二支方位ではなく、八卦方位を使っている。

まだまだ、S氏の家相に関する知識が少なすぎる。もっと、勉強したほうがよさそうだ。

後天定位だけではなく先天定位も見る

S氏の家相法では、後天定位だけではなく、先天定位も見る必要がある。

先天と言うのは、先天的な特性の事。人であれば、生まれる前から備わっている特性。首の上に頭があって、、、といったことも、先天的特質と言える。それに対して、後天とは、人間が生まれた後、それぞれの人が、備えることになる性格とか体格のこと。

八卦や九星の方位にも先天と後天がある。家相の場合、通常、後天定位を使う。しかし、吉凶の判断を詳細に論じる際には、先天も理解する必要がある。

単に、設計の為の吉凶を知るだけならば、先天定位まで、意識する必要はないと言えるかもしれない。S氏は、凶相による災いを正確に認識するために、先天を用いる。つまり、占い的な解釈をする際に必要になるのである。したがって、素人や設計士が理解する必要はないかもしれない。

後天定位
  • 北:坎、一白水星
  • 北東:艮、八白土星
  • 東:震、三碧木星
  • 南東:巽、四緑木星
  • 南:離、 九紫火星
  • 南西:坤、二黒土星
  • 西:兌、七赤金星
  • 北西:乾、六白金星
先天定位
  • 北: 坤、二黒土星
  • 北東:震、三碧木星
  • 東:離、九紫火星
  • 南東:兌、七赤金星
  • 南:乾、六白金星
  • 南西:巽、四緑木星
  • 西:坎、一白水星
  • 北西:乾、八白土星
例えば、西欠けの家を鑑定する場合、後天定位の兌の七赤金星を判断の基準にする。しかし、占的な物語を構築する際に、西の先天定位である、坎の一白水星を考慮する必要がある。

さらに、西の方位に坎が生じたので、後天定位の北に注意を向け、北の先天定位である、坤の二黒土星まで、考慮して物語を作るのである。

八卦には、それぞれ、象意と言うのがあって、各卦に属する単語がある。つまり、西崖について論じる際、兌の単語だけではなく、坎や坤の単語も含めて物語を作るのである。

2016年2月11日木曜日

西の方位は秋の象徴、五穀が実りお金が入る

西はお金の方位だと言われている。

なぜかというと、西は秋の象徴だからだ。

各方位は、季節と結びつけられており、それが家相の判断にも影響を与える。

  • 北:冬
  • 東:春
  • 南:夏
  • 西:秋
 これだけ見ると、唐突な結びつきに思えてしまうが、太陽の動きや温度と比べると納得できるかもしれない。

北には太陽が出ないので寒い。東は太陽が出る方位。南は太陽が昇り、最も熱くなる。そして、西へ沈む。

この四季の方位の中で、最もお金との結びつきが大きいのが西である。

秋は、実りの季節である。五穀(稲、麦、豆、あわ、きび)が実る季節である。様々な果実も実る。そして、それを収穫すると、お金が手に入る。

だから、この方位を大事に扱うと、お金持ちになるとされ、逆に、凶になる作りの家は、金に困るとされているのだ。

西方位を吉にする方法として重要視されているのが「張り」。建物や土地の西側が張り出ていると、それだけ良い気を取り入れることができると考えるのである。


ちなみに、四方位は何れも重要視されている。北は、陽の気が発生する場で、東は草木が芽を出す季節。南は草木が繁茂し、西は草木が実る。

主人が成功して、金持ちになる別棟

西と乾は、どちらも、金の意味がある。

西の金は加工された金のことだからお金を示し、乾の金は原産物のことだなんて言われ方もする。

このどちらかが張りだした地相や家相は、富貴をつかさどるとされている。

しかし、乾と西が両方、つまり、両方位にまたがる場合、張りが転じて、坤欠けになる可能性がある。そのため、むやみに張りを作るのは危険と言える。

だが、S氏の鑑定で面白い事例がある。

西と乾にまたがった別棟がある例である。

基本的に、別棟の場合も、張りと同じように扱う。ただし、通常の張りのように、張りが転じて他の箇所の欠けと認識されることはあまりないようである。

つまり、西と乾の両方にまたがった別棟は、二つの方位の富を得ることができるので、大吉相と言うことになる。

乾は、父を意味する。したがって、住主が、成功をおさめ、お金に困らない生活が送れるとされている。

さらに、兌は、口を意味するので、口で人を喜ばすことができるとされている。

近年の住宅では、敷地内に別棟を建てるケースは少ないかもしれないが、大変興味深い事例でだなと感じた。

七赤金性の女(33才)が結婚できない理由

Sさんの家相鑑定の実例について書く。

銭湯の家相の鑑定である。

銭湯と自宅が併設している。この場合、先頭の部分ではなく、住居部分だけに着目して中心を求める。

ただし、この住居の場合、住居側に、火を起こす釜があった。住居内の西のゾーン。

西は、七赤金星の方位。金気と火気がぶつかると火剋金になる。

Sさんの家相法では、単に火気があるだけなら、大きな問題にはならないらしい。

しかし、この家の場合、33歳になる娘がいて、本命星が七赤金星だった。

この場合、火剋金の災いが娘に襲いかかるという。


だから、この家の娘は結婚できずにいた。現代社会では、33歳で結婚していない人は多いが、Sさんが家相鑑定をしたのは、もう何十年も前のことで、33歳といえば、婚期を逃したと判断されたのだろうと思う。

また、この娘は、突然倒れて顔が真っ赤になることがあったという。これも、火剋金の災いだという。

似たような例も紹介されている。

たとえば、北の方位に火気があり、一白水星の住人がいる場合も、災いが起こるという。

この場合、水剋火の相剋だからだ。

家相の定義を明確に表現

Sさんの本は、何十年も前に書かれた。

今とは世の中の価値観も違っていたと思う。

だから、内容も少し過激。

凶相があると、すぐに、人の死と結びつける。


今は、気学が風水と呼ばれるようになり、たくさんの風水師が家相について本を書いているが、家が凶相だからと言って、人が死ぬなんてことをアピールする人はいない。

家相が原因で、人が死んだり、病気になったりするとは思っていないのだ。

単に、昔からの風習を尊重したいという程度の人が多いのだと思う。


しかしながら、Sさんの本は、家相の仕組みが詳しく解説されている。彼自身も言っているが、当時の家相家の本は、吉だとか凶だとかいうだけで、その仕組みを詳しく説明しようとする人がいなかったのである。Sさんが、家相の仕組みを詳しく論じたおかげで、江戸時代から続く家相が、継承されることになったのだと思う。

Sさんは、家相をわかりやすく定義している。

彼の定義の要約を以下に記しておく。

天と地の間には気が存在する。ここでいう気とは、木火土金水、つまり、五行の気のことである。この気が、家の中に入ると、家相になる。そして、気が交錯して、相生と相剋が生じる。その結果、住民の生活に大きな影響を与える事になる。